ハロー!イナギ

時代とともに姿を変える商店街のまちなみ
2021年01月22日

 ペアリーロード稲城商店街で約30年、はんこ屋を営んでいるのが内山大賀堂さんです。「今は住宅街になってしまいましたが、以前はこのあたりもにぎやかな商店街だったんですよ」と、店主の内山政男さんは話してくれました。ペアリーロードの歴史を、内山大賀堂の内山政男さんと稲城市で45年音楽教室の運営や楽器販売をされている株式会社タカハシ・ミュージック・プラザの高橋渡さんにお聞きしました。

 60年ほど前に現在も経営している「つるや洋品店」、不動産屋の「芦川商事」、「遠藤電気店」と次々お店ができ、ペアリーロード稲城商店街の前身となる稲城中央商栄会ができました。大人気のパン屋さん、肉屋にはいつも行列ができていていました。

 内山大賀堂さんのお店周辺にもお菓子屋、八百屋、寿司屋、金物屋、お茶屋、園芸屋、カメラ屋、床屋、日本そば屋、電器屋が軒を連ねていました。肉屋、魚屋など、生鮮食品を扱う店も多く、地元の人たちの生活と密接に結びつき、日常の生活必需品はほとんど手に入ったといいます。どのお店も大盛況でした。

 当時商店街は市内に12あり、その中でも一番古くて大きい商店街が稲城中央商栄会でした。中でも3つの班に分かれていて、平成の最初頃は100軒ほどのお店が登録していました。1991年にはキリンのモニュメントが作られ、「ペアリーロード稲城商店街」と改名しました。

 商店街の姿が少しずつ変わり始めたのは、大型店が出店してからです。1977年に忠実屋(現在のグルメシティ稲城店)ができる際は、商店街の店主たちが集まり、個人店が生き残るための話し合いをしていたといいます。けれど残念ながら時代の流れには抗えず、生鮮食品を扱う八百屋や魚屋が姿を消していきました。

 現在は39軒のお店が登録しているペアリーロード稲城商店街。市内の商店街の中では登録店数は多い方だそう。稲城市内の商業活性化と空き店舗対策事業として、稲城市商店会連合会が主催するレンタルボックスショップ「あいiショップ」がオープンするなど、新しい施策も打ち出しています。

 商店街の姿は変わりましたが、地域の人との温かな交流は変わりません。

 中学生だった子が大人になったら、「いつか内山大賀堂さんではんこを作りたいなと思っていました」と訪れてくれるなど、うれしい思いをしたそうです。地域の人にとって商店街はいつもその場所にいてくれる存在。暮らしの中に溶け込み、長く愛され続けています。

  • 内山 政男さん(内山大賀堂)
  • 内山 政男さん(内山大賀堂)
    福島県出身。終戦直後から福島県内で印鑑職人として働き、日本橋堀留でゴム版などの作成に携わる。その後、独立して稲城市で内山大賀堂を開業。以来奥さまと二人三脚で経営し、印鑑の販売や印刷などを手掛ける。内山さん自らが彫る手仕上げの印鑑は開業当時から好評。商店街を活性化させるための活動にも熱心で、他の商店街とともに商工会で新聞の発行にも参加している。
  • 高橋 渡さん(株式会社タカハシ・ミュージック・プラザ)
  • 高橋 渡さん(株式会社タカハシ・ミュージック・プラザ)
    福島県出身。上京後、音楽好きが高じて楽器店を開業。音楽教室・楽器販売・修理・調律なども運営。地域活動にも参加し、レンタルボックス「あいiショップ」(稲城市商店会連合会主催)のHP作成支援などを行う。創業45年を迎えた現在は、「フルーリール・ムジカ」、「向陽台ミュージック・バルーン」、「京王稲田堤総合音楽センター」など音楽教室や楽器ショールームなどの店舗の経営を手掛ける。また、稲城市商工会、市商連の役員として稲城市のまちの経済活性化のために積極的に行動している。