ペアリーロード稲城商店街という名前に決定したのは、1991年のことです。前身である稲城市中央商栄会の40周年に合わせ、商店街名を変更しようということになり、公募により名前を募集しました。
「ペアリーロード」とは、稲城市特産の梨「Pear」と仲良く買い物をしてほしいという思いから「Lovely」を合わせた造語です。「同じタイミングで、キリンの親子をシンボルとした街路灯モニュメントが第3小学校前と福祉センター前、JR稲城長沼駅そばに2基、計4基が設置されました。キリンが採用されたのは、『キリンだったら親しみがあり、みんな好きだろう』という理由から。当時の商店街の会長さんと親しかった家具屋さんに、藤で作られたキリンが置かれていたんです。それがきっかけとなり、自然と決まりました」と話してくれたのは、ペアリーロード稲城商店街で約50年酒屋を経営する笊屋(ざるや)の店主・遠藤誠さんです。
残念ながらモニュメントは老朽化により、2016年に東京都の都市補助金で撤去されてしまいました。消防法の関係で、新規に立て替えることはできなかったと言いますが、「親しみのある商店街に」というモニュメントを設立した当初の願いは息づき、商店街は地元の人とずっと密接な関係を築いています。
盆や暮れなどは、地域の人たちに楽しんでもらおうと、抽選券を配布し、福引を開催するのが恒例行事でした。さわやか信用金庫の隣あたりにガラガラを設置し、先着順にシクラメンをプレゼントしたり、甘酒を配ったりするなど、にぎやかだったそうです。2002年頃は、第三中学校の生徒さんにも体験学習で参加してもらい、世代を超えて商店街を盛り立てていました。商店街総出で開催していたため、多忙ではあったものの、お店の人たちも季節の行事として楽しんでいたといいます。
福引は10年ほど前から、はがきで応募して抽選する「ふれあいキャンペーン」に形を変えました。年末になると「今年もあるよね?」とお客さんに声を掛けられるなど、すっかり定着しています。
2010年からはビアガーデンも開催。特にビアガーデンは市役所や商工会からもかなり注目された行事でした。たくさんの人が訪れ、遠藤さんも大忙しでした。
商店街の魅力は、なんといってもきめ細やかな気配りです。スーパーマーケットなどの大型店ができるなど昔とは変わった部分が多いとはいえ、近隣であれば配達をしてくれたり、お店を訪れたお客さんとおしゃべりする様子は以前と変わりません。
「こうした個人商店の魅力を大切にしていきたい」と話す遠藤さん。その優しい笑顔から、一人ひとりのお客様を大切にしていきたいという気持ちが伝わってきます。